Paris, mais c'est la Tour Eiffel(パリ、そいつぁエッフェル塔さ)
「通天閣についての本を読んでいるが、とても面白い」と知人がしきりに言うので、それならこちらはと倉田保雄著『エッフェル塔ものがたり』を読んだ。
エッフェル塔は、ヒトラーやチャップリン、ジャン・コクトーが生まれたのと同じ1889年に完成している。特に第二次大戦時のヒトラーとエッフェル塔の関係についてはルネ・クレマン監督『パリは燃えているか』を観るとよくわかるが、今はそれほど作品として人気が無いのか、日本版DVDが出ていないのが残念だ。
塔の設計者ギュスタブ・エッフェルは学者という顔も持っており、エッフェル塔で風速や風圧に対処する研究を行い、航空力学を発展させるのに貢献した。これにより、フランス空軍は第一次大戦で優秀な軍用機を生産することが出来たという。
また、当初1909年に取り壊すことになっていたエッフェル塔が存続させられたのは、フランス陸軍が塔を国防上の必要な施設と判断したことによる。
たかがといえば語弊があるが、もともと万博の目玉として作られた建造物が、このように二つの世界大戦と大きく関わりを持ち、現在に至るまで多くのストーリーの舞台として、「Paris, mais c'est la Tour Eiffel(パリ、そいつぁエッフェル塔さ)」とシャンソンに歌われるほどパリと切り離す事ができない存在になった経緯を知った。
通天閣と繋がるところはあるかといえば、二つ発見した。
1・フランス革命100周年にあたるパリ万博のために考案された「エッフェル塔(la Tour Eiffel)」だが、この鉄の塔に対する案として出ていたのは、「太陽の塔(la Tour Soleil」という頂上に反射鏡装置を取り付けた塔で、地上からの協力な電光を跳ね返し、パリ全市を照らす灯台のような石造りの塔であった。通天閣ではないが、同じ大坂の万博のために作られた岡本太郎による「太陽の塔」を連想させる。
2.通天閣は広告塔としてのイメージも強いが、エッフェル塔も、1920年代から30年代半ばにかけて「CITROEN」のイルミネーションをつけ、広告塔の役割を果たしていた。
さて、エッフェル塔についての知識を少し得た上で、また知人から通天閣の話を聞くのが楽しみである。
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