2007-01-01から1年間の記事一覧

イヨマンテ

先日、アコーディオンに合わせて祖父母にいろいろ昔の曲を歌ってもらった際、祖母に「黒百合の歌」、祖父に「イヨマンテの夜」を教えてもらった。「黒百合の歌」は1954年、織井茂子が歌ってヒット。「イヨマンテの夜」は1949年発表、伊藤久男が朗々と歌って…

カオス

タヴィアーニ兄弟の『カオス・シチリア物語』を観た。カオスとは、混沌を意味するけれど、実際のイタリアの町の名前でもある。DVDジャケットの今にも海に飛び込みそうなポーズをとる後姿の少女に心惹かれて観ることにしたのだけれど、この映画を観ずに映…

宮本常一の方法

最近、民俗学的なドキュメンタリー映画を何本か観たため、宮本常一を読んでみる気になった。水木しげるの漫画や大塚英志原作の『北神伝綺』等、民俗学の要素を盛り込んだ漫画は割と人気があるようで数多く出版されており、そのようなとっつきやすい媒体から…

見世物小屋

昨日に引き続きドキュメンタリー映画をみた。北村皆雄監督『見世物小屋−旅の芸人・人間ポンプ一座』 (1997年)と『修験−羽黒山・秋の峰』(2005年)の二本。私は1979年生まれだけれど、見世物小屋の記憶がない。寺山修司の本、映画『フリークス』、丸尾末広…

ドキュメンタリー映画と報道写真−リアルとフィクション

ドキュメンタリー映画の上映会に行き、大森康宏監督『私の人生ジプシー・マヌーシュ』(1977年)と『津軽のカミサマ』(1994年)をみた。どちらも、10年以上前(前者にいたっては30年も前)の作品だけれど、ナレーションがほとんど入らず説明的ないやらしさ…

絵巻の面白さ

人がたくさん描き込まれている絵を見るのが好きだ。絵巻には人がたくさん描かれていることが多いので、日本史にはあまり詳しくないけれど、じっくり眺めることが多い。大抵、ちょっと見ただけでは気がつかないようなところでおかしなことをしている人をみつ…

KIKI

キキが絵を描も描いていたなんて知らなかった。キキは、キスリング、マン・レイ、モディリアーニ、ユトリロ等多くの芸術家に愛され、いかにもシャンソンに唄われそうな波瀾に満ちた人生を送った女性だ。(実際シャンソンに唄われていたような気もする) 彼女…

冬を迎えるにあたり

クリスチャンではないのだけれど、なぜか私にとって、西洋の聖人とか天使は、馴染み深い存在である。小学校時代、「マイバースデイ」という占い・おまじない雑誌を愛読しており、そこでよく紹介されていたからかもしれない。昨日、11月30日は、聖アンドレア…

ある日

武田百合子『日日雑記』は1988年から1991年まで3年間にわたり、マリ・クレール誌に連載された文章が本になったもので、1992年初版発行、百合子さんの最後の本である。文章が必ず「ある日」ではじまるので、今日のタイトルも「ある日」。 何でもなさそうな日…

シャイロックのこと

映画『ヴェニスの商人』を観た。シェイクスピアのこの作品を読んだのはもうかなり昔の話で、ストーリーを覚えている程度だったのだけれど、映画を観たことをきっかけに、シャイロックというキャラクターの面白さが新たにみえてきた。『ヴェニスの商人』で、…

クジラの歌と新しいメディア社会

「誰も機械から逃れることはできない。機械だけが、人間を宿命から逃れさせてくれるのだから」(トリスタン・ツァラ)20世紀における<芸術>と<技術>の問題について書かれた伊藤俊治の『機械美術論−もうひとつの20世紀美術史』のなかで、とりわけ面白いと…

ゼフィレッリ監督好み

最近、私の「これは!」と思った美少女はJUDI BOWKER(ジュディ・ボーカー)だ。フランコ・ゼフィレッリ監督の『BROTHER SUN, SISTER MOON』という映画に出演しており、はじめて知った。系統としては、テレビドラマ『大草原の小さな家』のメアリー系の美少女…

アテナイの夜の鳥 Athene noctua

「ミネルヴァの梟は黄昏を待って飛び立つ」(ヘーゲル『法哲学』)という一節はあまりにも有名だ。 賢い老いたフクロウが カシの木に住んでいた 彼は多くを目で見て控えめに話した 控えめに話して多くのことを耳にした なぜ我々は賢いこの鳥のように なれな…

稀覯書のデジタル画像化

図書館や美術館によるデジタル化プロジェクトについてはかなり前から新聞でも取り上げられており、慶應大学のHUMIプロジェクト(稀覯書のデジタル画像データの制作と研究)についても気にはしていたのだけれど、今回高宮利行著『グーテンベルクの謎』を読む…

たまには実用書

年末に向けてというわけでもないけれど、部屋が散らかりすぎたので掃除をしており、「うわー、懐かしい」と思って読んだのが『脱サラの経済学』。(掃除はもちろん中断)発行年が2001年。私は、この本を就職したての2002年に買ったと思う。「脱サラ」という…

『家族の肖像』と『生きる』

ヴィスコンティの『家族の肖像』は、気難しく孤独な老教授が家族というものの良さに気付くというだけの話ではない。若者と老人、異なる世代の価値観の違いなどもこの映画の重要なファクターなのだけれど、それが深刻なものとしてだけではなく、ユーモラスに…

西鶴を読む前に…

元禄文化の庶民的で華やかなイメージは、割と好きだ。最近、井原西鶴をきちんと読みたいなと思っていて、まずは背景から…と『元禄文化−遊芸・悪書・芝居』を読んでみた。「遊び」の側からみた元禄町人文化論である。元禄期には、学問や文芸といった教養に類…

大人のための童話

オデットというと、まず思い出すのが白鳥の湖のオデット姫だ。『オデット』のオデットも、白鳥の湖のオデットのイメージとどこか重なる清らかなキャラクターである。なんて、耽美な文章なんだろう、と思いながら読み、こてこてに耽美な短い物語(「こてこて…

Hurdy-Gurdy

楽器が好きだ。音楽を聴く喜びと楽器を演奏する喜びは違うもので、音楽を聴いて「この音色良いな」と思うと、自分もその楽器を使って実際に音を出してみたくなる。楽器の値段はピンきりで、「プロではないのだから雰囲気だけ愉しめたらいいや」と思って一番…

仕事を休んで…

京都百万遍にある知恩寺の古本市に行ってきた。日曜まで開催しているのだけれど、初日に行きたくて仕事を休んだ。仕事を休んだ甲斐あって、前から欲しいと思っていた本をたくさん安値で購入することが出来た。古本にかけられているシートが営業開始時間きっ…

Le Rayon vert

エリック・ロメール監督の『緑の光線』を観た。彼の「喜劇と格言劇集」第四作である。エリック・ロメールは他の作品を何作か観て好きになった監督だけれど、この映画の前半部は観るのを苦痛に感じすぎて途中で観るのを止めようかと思ったほどだった。気持ち…

障害者の就労

障害者の就労を支援するため、厚生労働省が来年度(2008年度)からハローワークに専任職員を配置するという記事が新聞に掲載されていた。これら就労支援コーディネーター(仮称)には企業の人事経験者らが数百人配置されるようだ。私は福祉系の職場にいたこ…

パワナ*1

アメリカの歴史を語るうえで、捕鯨の歴史を抜きにすることは出来ないということは、巽孝之の『恐竜のアメリカ』 や『「白鯨」―アメリカン・スタディーズ』を読んで知った。捕鯨業は、19世紀半ば、石油の開発によって鯨油の需要が落ち込むまでの一時期、アメ…

発禁書

フェリクス・ガタリが編集代表と発行人を努めた雑誌『ルシェルシュ12号−30億の倒錯者−同性愛大百科』は、1973年4月、フランスで発禁処分となった。この号には、ミシェル・フーコー、ジル・ドゥルーズ、ジャン・ジュネ、ジャン=ポール・サルトルといった有名…

ウィーンのカフェ

今、一般的な喫茶店*1で珈琲の値段は、安いところで300円、高いところで800円、平均550円といった感じだと思う。私は、その安いほうの喫茶店にも最近行っていなくて、180円ほどで珈琲を飲むことが出来るチェーン店を専ら利用している。今でこそそうだけれど…

天使のささやき

『天使のささやき』は、植島啓司の宗教にかかわる論文を集めた本だ。グレゴリー・ベイトソンとマーガレット・ミード、ハンス・ベルメール、リチャード・マーティンなどの本、写真集から引用された天使的な写真・図版もちりばめらている。「善悪の一つの彼岸…

深夜バイト

昨日は、早朝バイトについて書いたので、今日は、深夜バイトについて書きたいと思う。私がした深夜のアルバイトは、24時間のレストラン。夜の10時から朝の6時までの勤務だった。深夜バイトは、昼よりも時給がよいので、同じ時間を使わなければだめなら、絶対…

コンビニ店員

アルバイトとして、ポピュラーなものは、コンビニとファーストフード店だと思う。これは、皆が憧れるというよりは、近所にあって、割と頻繁にアルバイト募集をしているし採用されやすいから、だと思う。私は、ファーストフード店のアルバイトはしたことがな…

祇園祭月鉾のカメ

鶴岡真弓は、ケルトの装飾芸術に関する本を数多く著しているけれど、『装飾する魂』は、主に日本の文様芸術について世界各地の文様芸術と比較しながら書かれた本だ。渦巻、鳳凰、唐草、桜、水、蝶、龍、縞…と、15のモチーフをテーマに、それらが何を象徴して…

家庭教師

昨日に引き続き仕事シリーズ。「家庭教師」について書いてみたい。この仕事も、昨日書いた「テープ起こし」ではないけれど、私の場合、全て知人の紹介だ。今まで、4人の子の家庭教師をさせていただいた。「家庭教師は、子供の親に仕える身でありながら、子供…