Hurdy-Gurdy

楽器が好きだ。音楽を聴く喜びと楽器を演奏する喜びは違うもので、音楽を聴いて「この音色良いな」と思うと、自分もその楽器を使って実際に音を出してみたくなる。

楽器の値段はピンきりで、「プロではないのだから雰囲気だけ愉しめたらいいや」と思って一番安いものを購入すると(技術もあるのだろうけれど)良い音が出ないし、結局すぐに壊れたり、見た目も安っぽくてあまり好きになれなかったりして後悔する場合が多い。
というわけで、楽器を買おうとするとすぐに買えるような値段ではないものが多く、楽器を手にしたいという願望に購入が追いつかない。

今一番気になっている楽器は、Hurdy-Gurdy(ハーディ・ガーディ)で二番目に気になっている楽器が北インドの管楽器Shehnai(シャーナイ)。鹿島亨著『絵と音楽の対話』を買ったのは、この本にHurdy-Gurdyについて書かれた章があり、とても珍しいと思ったからだ。音楽図像学の本で、名画にみられる楽器、例えば天使なんかが奏でているような今ではポピュラーではない古楽器について、詳しく解説されている。

Hurdy-Gurdy(ハーディ・ガーディ)とは、弓の代わりに木製の円盤を回転させ、絃をこすって音をだす楽器で、歴史は中世に遡る。Hurdy-Gurdyは英語だけれど、フランスではvielle、ドイツ語ではDrehleierといわれているようだ。ヨーロッパ起源の楽器と考えられていて、物乞いや旅楽士ための楽器として軽蔑されたり上流社交界でもてはやされたりと、社会的な階層における両極端で使われたという歴史を持つ。私の印象では、フィドルアコーディオンを合わせたような音色で、トラディッショナルフォークによく似合う。

ある目的のために貯めていたお金をアコーディオンにはたいてしまったことがある。おかげでその計画は未だに実行に移すことが出来ていないけれど、その時購入した約8キロのアコーディオンにはとても愛着を持っているので後悔はしていない。Hurdy-Gurdyは、とても高価で、演奏するのも独学では難しそうだし、購入できるのは10年先になるか20年先になるかわからないけれど、かなり重いアコーディオンを持つことが出来ないくらいおばあさんになった頃には、アコーディオンよりは軽そうなHurdy-Gurdyに持ち替えて即興演奏など出来るようになっていたいな、なんて思う。…三味線を練習しておいたほうが絵的に不自然ではないかもしれないけれど…

Grand Masters of the Hurdy-Gurdy

絵と音楽の対話―名画にみる楽器 (1977年)

絵と音楽の対話―名画にみる楽器 (1977年)