2012-01-01から1年間の記事一覧

「労働は人を自由にする」とはアウシュビッツ強制収容所の門に書かれていた言葉である

キング牧師はベーシック・インカムを要求する運動を組織するなかで糾弾に倒れた。彼は、ベーシック・インカム要求について、黒人のシングルマザーたちを中心とした運動から多くを学んだという。ベーシック・インカムとはどのようなものか。山森亮著『ベーシ…

Paris, mais c'est la Tour Eiffel(パリ、そいつぁエッフェル塔さ)

「通天閣についての本を読んでいるが、とても面白い」と知人がしきりに言うので、それならこちらはと倉田保雄著『エッフェル塔ものがたり』を読んだ。エッフェル塔は、ヒトラーやチャップリン、ジャン・コクトーが生まれたのと同じ1889年に完成している。特…

ステラおばさんとアーミッシュ

肌寒くなると、暖かい飲み物と共に濃厚な味のクッキーが食べたくなる。ステラおばさんのクッキーを好きで良く購入しているが、ステラおばさんはペンシルバニア・ダッチカントリーで幼稚園の先生をしていた実在の人物で、クッキーやパウンドケーキを焼く名人…

ビアトリクス・ポター

ピーターラビットの生みの親、ビアトリクス・ポターは、1866年ロンドンに生まれました。ピーターと仲間たちの世界は、ポターが幼い頃避暑にでかけた湖水地方での生活を背景にしています。自然の中で、ポターは動植物を観察し、スケッチしました。キノコの研…

資料データ付きの本

1895年12月28日、リュミエール兄弟は世界最初の実写映画といわれる『工場の出口』や『庭師』をパリのグランカフェで上映した。その後シネマトグラフという新商品の販路拡大のため、専属技師たち50人ほどをメキシコや日本など世界各地へ送り出し、撮影と上映…

旬の愉しみ

『M嬢物語―鴨居洋子人形帖』を読む。彼女が作った数々の人形の写真が華やかなエッセイ本だ。鴨居洋子は下着デザイナーだけに、人形の下着も丁寧にデザインされ、どの子の下着もそれぞれ違って素敵。人形エッセイを読むと、自分と人形との関係も思い出す。3…

私は赤ちゃん

松田道雄著『私は赤ちゃん』を読む。1960年に発行された本だ。古本好きの私も、育児に関してはさすがに最新の知識が欲しいと、新しい本を何冊か読んだ。それらの本には、「昔は抱き癖がつくからすぐ抱っこしないほうがよいと言われたが、赤ちゃんが求めたら…

明治40年前後の理科教育

牧野富太郎について、昔の偉大な植物学者であるということ以外に特別な知識もなかったが、春、草花が芽吹く季節はやっぱり気分が高揚するなぁ、と植物についての興味が増したこともあり、俵浩三著『牧野植物図鑑の謎』を読んでみた。 この本は、著者がたまた…

サマセット・モームの『読書案内』

体調が悪く寝て過ごすことが多くなるとどうしても薄い文庫や新書しか読めなくなる。本棚にあった薄い本ということでW.A.モーム著『読書案内』を読んでみた。モームはここでとりあげる本について、第一にその書物が楽しく読めるという条件を求めた。ただし、…

赤い鳥の童話

坪田譲治編『赤い鳥傑作集』を読んだ。『赤い鳥』は、鈴木三重吉が大正7年に創刊し、一時途絶はするものの昭和11年まで続いた童話と童謡の月刊雑誌である。私は長い間絵本や童話から遠ざかっていたので、大人になった今子供向けのものを読むとどんな風なのだ…

痴呆を生きるということ

老人福祉の世界に興味を持ち、ヘルパー2級の勉強をしはじめたのはもう10年ほど前になる。10年前、祖母に見られるようになったもの忘れの症状が、老人福祉の世界に興味を持ったひとつのきっかけだった。現在、10年前は祖母より元気に見えていた祖父は病院に入…

三歳児神話

最近香山リカ著『貧乏クジ世代―この時代に生まれて損をした!?』も読んだが、香山リカの著書には、そのとき気になっている事にぴったりのタイトルのものが多いなと思う。 今回読んだのは『母親はなぜ生きづらいか』。タイトルから想像していた現代の母親の…

『「まだ結婚しないの?」に答える理論武装』読了メモ

伊田広行著『「まだ結婚しないの?」に答える理論武装』を読んだ。「まだ結婚しないの?」は、たいていの独身女性が(個人差はあるだろうけれど)学校を卒業したあたりから年齢が高くなるにつれて頻度を増し言われ続けることになるプレッシャーを感じさせる…

ふたりのこいびと―シャンソンと料理

料理・食の描写が上手い多くの作家の中で私が食の好みが合いそうだな、と思っているのは2年ほど前に亡くなったシャンソン歌手の石井好子だ。彼女の歌も好きなら人となりも好きでエッセイも何冊か読んでいる。この度読んだのが「ふたりのこいびと」。読みなが…

子どもと教育とベンヤミン

ヴァルター・ベンヤミン著、丘澤静也訳『教育としての遊び』は、特にこれから子育てを経験するにあたって手元に置き何度でも読み直したい本だ。私がかつてその文章と出会うことが出来たことをこの上なく幸福なことと思い、もし若い人に読むことをすすめるな…

ハーシーチョコレートと大恐慌

2月、バレンタインデーのある月だ。寒さが身に凍みる時節だけれど、冬は製造・管理・味、どの面から言ってもチョコレートに一番ふさわしい季節だ。というわけで、ティータイム・ブックス編集部編『チョコレートの本』を読んでみた。チョコレートの歴史から科…

フィオリーレ観賞メモ

タヴィアーニ兄弟の映画『フィオリーレ-花月の伝説』を観た。日本で入手できる彼らの作品でまだ観ていないのは『グッドモーニング・バビロン』のみとなってしまった。『フィオリーレ-花月の伝説』の舞台は『サン・ロレンツォの夜』と同じく彼らの出身地であ…

秘書検定1級受験体験記

長い空白でブログの書き方も忘れてしまうところだった。空白の理由は子供が出来てしまったことで、仕事を続けることで精一杯、好きな本を読むことや映画を観ることも出来ないくらいの体調の悪さにブログどころではなかったのだ。昨年5月は【マナーの勉強】と…