ふたりのこいびと―シャンソンと料理

料理・食の描写が上手い多くの作家の中で私が食の好みが合いそうだな、と思っているのは2年ほど前に亡くなったシャンソン歌手の石井好子だ。彼女の歌も好きなら人となりも好きでエッセイも何冊か読んでいる。この度読んだのが「ふたりのこいびと」。読みなが…

ハーシーチョコレートと大恐慌

2月、バレンタインデーのある月だ。寒さが身に凍みる時節だけれど、冬は製造・管理・味、どの面から言ってもチョコレートに一番ふさわしい季節だ。というわけで、ティータイム・ブックス編集部編『チョコレートの本』を読んでみた。チョコレートの歴史から科…

各国料理ブーム再到来

ニンニクは多くの料理に欠かせないのに、どこにも出かける予定がない休日の前日でなければニンニクを使った料理を食べることを控えざるをえないのが辛いところです。 昨日の晩に食べたイラク風サラダに入れたニンニクの臭いがまだ自分から消えていないような…

レッカリーとアイスワインのこと

食べたことのない輸入菓子をみると、つい味が気になりいろいろ買いたくなってしまうので、なるべく輸入食品の店に行くのを控えています。でも、先日、知人に付き添って輸入食品店に入ってしまい、案の定結構な金額になる量を購入してしまいました。 いくつか…

料理のうた

見事なモカの樹の茂るかぎり、 木の実がパチンと音をたて、 珈琲挽きがうごいている間、 銀製の器から 湯気をたてた流れがすべり、 支那の陶器が 黒い潮をうけとめている間、 珈琲が、ブリテン島の妖精に 親しいものである間、 芳香の流れが 下れた頭を元気…

グミベアーと王様

ミヒャエル・ゾーヴァの画は、映画『アメリ』で、アメリの部屋にも飾られているし、どこかで目にしたことのあるという人は多いと思う。彼が挿絵を描いているアクセル・ハッケの本、「ちいさなちいさな王様の話」を読んだら食べたくなるお菓子はグミベアーだ…

食事と気分

森茉莉生誕百年を記念して出版された『森茉莉 贅沢貧乏暮らし』という本がある。森茉莉の文章の中に出てくる食べ物を再現した頁が多い。料理の写真は、どうしても文章によって膨らんだイメージに程遠く感じてしまう。けれど、いつか自分で彼女の著作の中の食…

アップルパイ

今日、アップルパイを買った。アップルパイをみると、尾崎翠の『アップルパイの午後』という戯曲形式の小品を思い出してしまい、ついつい買いたくなってしまう。この題名、なんて素敵なんだろう。そして、もちろん、内容も。兄と妹と友達と、登場人物は三人…