2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧

文学作品における部屋の描写

海野弘の多作ぶりには本当に驚いている。本屋に行って面白そうなタイトルだと思ってみてみると「あ、これも海野弘が書いているのか」と思うことが多い。今回読んだのは、 『室内の都市−36の部屋の物語』だ。文学作品に描写された部屋についてのエッセイが3…

読んでみるものだ

『存在の耐えられない軽さ』で有名なミラン・クンデラの『緩やかさ』という小説を読んだ。ミラン・クンデラの『存在の耐えられない軽さ』は読んだことはないし、映画さえまだみていない。彼の他の作品についても読んだことはないので、はじめて読んだのがこ…

いちブロガーとして(2)

高校野球のニュースはつい気になってみてしまう。ついでに言うならオリンピックのニュースもついついみてしまう。普段、スポーツには関心を持てないでいて、あまりに関心を持てないでいることがかえって悩みであるのにも関わらず。試合を何が何でもみたいわ…

いちブロガーとして

時代の速度についていくのは大変だ。携帯電話は、高校のクラスの40人中30番目くらいに使い始めた。大学時代は、レポートを作成するためだけにパソコンを使用していた。大学を卒業してからは、テレビをビデオやDVDをみるための液晶としてしか使用していな…

死のイメージの遊園地

最後に遊園地に行ったのはいつだったか、たぶん、8年くらいも前だ。これから死ぬまでに遊園地には何回行くことがあるのだろうか、観覧車やジェットコースターには何回乗るのだろうか。エキスポランドでのジェットコースターの死亡事故と韓国での観覧車の死亡…

食事と気分

森茉莉生誕百年を記念して出版された『森茉莉 贅沢貧乏暮らし』という本がある。森茉莉の文章の中に出てくる食べ物を再現した頁が多い。料理の写真は、どうしても文章によって膨らんだイメージに程遠く感じてしまう。けれど、いつか自分で彼女の著作の中の食…

林芙美子になりきる

成瀬巳喜男の『放浪記』で林芙美子を演じた高峰秀子は私に強烈な印象を残した。一度観ただけだが、様々なシーンを鮮明に思い出すことが出来る。その印象の強さは『浮雲』(これも原作は林芙美子)の名演さえかすむほどなのだ。高峰秀子のちょっと低めの声で…

まつりのあと

斎藤美奈子の『趣味は読書。』によると(2003年発行の本なので、現在とはちょっと状況が違うかもしれないが)、もし日本が100人の村だったら、趣味として本に一定のお金と時間を割く人はせいぜい4、5人といったところ(数にして500〜600万ほど)のようだ。大…

トランスセクシャルの可能性

「やおい」という言葉はずっと知らなかったけれど、友達に、私の好きな作家の1人を「やおいの人でしょ?」と言われ、その言葉を知った。どうやら、1980年代くらいからコミケに集う同人誌作家たちの間で使われるようになった造語で、「ヤマなし、オチなし、イ…

権力空間としての江戸

最近、現代日本のプレカリアートと江戸の都市下層民は似ているな、とずっと思い続けていているのだが、研究テーマとして面白いな、と思っているので、続けてみようと思う。前回、江戸をユートピア的にとらえている杉浦日向子さんについて書いたが、今回は、…

オーケストラ・リハーサル

フェリーニの『オーケストラ・リハーサル』 (1979年)を観た。フェリーニ作品の中ではそんなに有名ではないと思うけれど、ニーノ・ロータとコンビを組んだものでは最後の作品だ。もともとテレビ番組用に作られたらしく、いつものように豪華なセットがあるわ…

プレカリアートと江戸っ子

杉浦日向子さんが2005年7月に亡くなってから二年ほど経った。ちょうど亡くなる直前に、杉浦さんの本を好んで読み始めたので、亡くなったと知って非常に残念に思った。どちらかといえば、江戸をユートピア的にとらえている杉浦さんの本。小谷野敦の『江戸幻想…

ヌーヴェル・バーグの始まり

DVD『美しきセルジュ/王手飛車取り』を観た。『美しきセルジュ』のほうは、クロード・シャブロル監督の処女作だ。1957年作品で、この作品の成功がヌーヴェル・ヴァーグの始まりとなったと言われている。「ヌーヴェル・ヴァーグらしいな」と、感じさせられ…

casuistry 決疑論

土屋恵一郎の『ポストモダンの政治と宗教』を読んだ。そこで、決疑論という言葉を知った。これは、土屋さんの言葉を借りると、「心のうちで違うことを考えていて、本当は違うのだけれど周囲の状況で仕方がなく、なにかをしたりいったりしても、後でその行為…

無知は犯罪である

30日、小田実さん、I・ベルイマン監督、M・アントニオーニ監督と、私がその作品に触れたことのある人が相次いで亡くなった。小田さんについては、長くはないと知っていたけれど、こんなに早くとは思っていなかった。小田実さんが亡くなったことを知り、小…