無知は犯罪である

30日、小田実さん、I・ベルイマン監督、M・アントニオーニ監督と、私がその作品に触れたことのある人が相次いで亡くなった。小田さんについては、長くはないと知っていたけれど、こんなに早くとは思っていなかった。

小田実さんが亡くなったことを知り、小田さんのホームページをはじめてみるきっかけを得た。

http://www.odamakoto.com/jp/

その中の、2007年4月28日に記された「市民のみなさん方へ」という文章で、「恒久民族民衆法廷」(PPT)についてはじめて知った。PPTとは、民衆の国際的組織で79年、イタリアの思想家、レリオ・バッソによって設立された、国家の犯罪を「民」(民族・民衆)の側から裁こうとする組織らしい。
「市民のみなさん方へ」は、この3月におこなわれた法廷に体調不良を押して出席した小田さんのフィリピンの現状についての報告だ。

フィリピンでは、今、アメリカと結託したアロヨ政権下、「 impunity 」(合法をよそおって、非合法の殺し、抑圧、拷問をする)の犯罪が大々的におこなわれているらしい。反対勢力の大一掃がはかられているようだ。

この小田さんの報告を読んだ後、もっと知りたいと思ってインターネットで調べてみたが、日本語のサイトでは、小田さんの報告以上に詳しいことを知ることが出来るものをみつけることはできなかった。インターネットで情報は何でも手に入るかにみえるけれど、まず、知ろうと思わなければ探すことができないし、欲しいと思っても手に入らない情報がたくさんある。
小田さんは法廷の席で、「無知は犯罪である」とも言ったという。

小田さんの死をきっかけに自分の無知をまたひとつ確認した。「無知は犯罪でである」という言葉を心に刻み、いろいろ勉強していきたいと思う。学生時代に影響を受けた「何でもみてやろう」の精神も「無知は犯罪である」をネガとするならこちらはポジとしてセットで生きる指針としていきたい。

何でも見てやろう (講談社文庫)

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