映画

ビアトリクス・ポター

ピーターラビットの生みの親、ビアトリクス・ポターは、1866年ロンドンに生まれました。ピーターと仲間たちの世界は、ポターが幼い頃避暑にでかけた湖水地方での生活を背景にしています。自然の中で、ポターは動植物を観察し、スケッチしました。キノコの研…

フィオリーレ観賞メモ

タヴィアーニ兄弟の映画『フィオリーレ-花月の伝説』を観た。日本で入手できる彼らの作品でまだ観ていないのは『グッドモーニング・バビロン』のみとなってしまった。『フィオリーレ-花月の伝説』の舞台は『サン・ロレンツォの夜』と同じく彼らの出身地であ…

川端作品と映画

佐藤忠男著『映画の中の東京』読了。東京を舞台にした映画を軸に、江戸〜昭和の映画史や人々の生活の変遷を解説した好著だった。取り上げられているのは、小津、黒沢、成瀬の有名な作品が多かったが、知らない作品があっても読むのに困らない内容。丁寧な解…

ミュージカル映画が苦手な人に

舞台のミュージカルはほとんど観ないが「ミュージカル映画」(特にハリウッド黄金期の)が大好きだ。舞台のミュージカルが好きという方にはたまに出会えるけれど、「ミュージカル映画好き」という人には残念ながら今まで実際に出会ったことがない。関連本も…

HOUDINI

アメリカでスピリチュアリズム(心霊主義)全盛の20世紀初頭、にせもの霊媒師が数多く存在し、多くの人々が食いものにされていた。そんな中、いんちき霊媒師を撲滅すべく敢然と立ち上がった男がいた。奇術師としてのヨーロッパ巡業先で最愛の母を亡くし、そ…

ジャック・リゴー

「驚くほどハンサムで、すこぶる洗練された服装、非常に神秘的な身ごなしだった」(ジョルジュ・リブモン=デセーニュ) 「シャトーブリアンやコンスタンにつながる憂愁の色を漂わせたダンディ」(ピエール・ドリュ・ラ・ロシェル) 「グループ一のハンサム…

滋賀のオリエント急行

実家に帰省するため、年に2回ほど寝台特急『日本海』を利用し10年ほどになる。B寝台しか利用したことのない私の目下の目標はA寝台を利用することだ。そんなに金額は違わないのに、ついつい切符購入段階になると安いほうを選んでしまうのだが、次こそは、と…

聖と怖

1947年公開、イギリス映画『黒水仙 Black Narcissus』を観た。ルーマー・ゴッデンという人の小説の映画化らしく、 『王様と私』でおなじみのデボラ・カー主演、監督は『赤い靴』で有名なマイケル・パウエルとエメリック・プレスバーガー。ヒマラヤの奥地に赴…

不思議な二人

山口小夜子は、パリコレにアジア系として初採用された国際的モデルで、日本人形のような黒髪とミステリアスな雰囲気が一度見たら忘れさせない存在感を持つ。最近(といっても2007年)亡くなったので、今後なかなかみつけられないかもしれない、と思って購入…

お得意さんへの昇進

前に日記を書いてから3ヶ月も経ってしまい、ログイン時のパスワードも忘れかけておりました。今まで本か映画の感想がほとんどでしたが、今日は日記らしい日記を書きたいと思います。 昨年、すごく行動力のある人と知り合い、その人の話を聞くにつけ、「これ…

ベロックの映画

観てしまうのがもったいないと思っている映画や、読んでしまうのがもったいないと思っている小説や漫画があるのだが、その中のひとつであったルイ・マル監督『プリティー・ベビー』をついに観た。1910年代のニューオーリンズの娼館が舞台で、それだけでも当…

古書好きにオススメ

『チャーリング・クロス街84番地』は古本や古書店好きに是非ともオススメしたい映画だ。アメリカに住む作家の女性ヘレーヌとロンドンの古書店で働く人々が、ヘレーヌによる古書の注文をきっかけに、手紙や贈り物のやりとりを頻繁に行うようになり心を通わ…

客車内の共同性

西垣通著『メディアの森―オタク嫌いのたわごと』は、副題が「オタク嫌いのたわごと」となっているけれど、オタク嫌いの意味がわかったのはやっとあとがきを読んでからだった。この副題で手に取るのを控える人も多そうだけれど、文字とグローバリぜーションに…

ウディ・ガスリー

コーエン兄弟の『オー・ブラザー!』を観て、ウディ・ガスリーの曲を聴きたくなった。ディランに多大な影響を与えた偉大なフォークシンガー、その名だけは知っていたけれど今まできちんと彼の曲を聴いたことはなかった。 『オー・ブラザー!』に直接ウディ・…

反復にある粋?

ここのところ、「反復の魅力が少しわかるようになったのかな」と、感じている。昔は、筋を知っていたり想像出来たりするような話には全く興味を持つことができていなかった。知らない世界がありすぎて、例えば時代劇を繰り返し見たりするのはおじいさんおば…

お姫様と私

昨年亡くなった若桑みどり氏の『お姫様とジェンダー―アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門』を読んだ。ジェンダーはどんな学問をしていても到達するだろう問題ではあるけれど、彼女のことは美術史の人とばかり思っていたので、ジェンダーの分野でも幅広く活…

母たちの村

『母たちの村』は、ウスマン・センベーヌ監督による西アフリカの女子割礼(女性性器切除)を取り扱った映画だ。そのようなことが現在も行われている地域があるということは知識としてのみ知っていたけれど、どのように行われるのか、なぜ行われているのか、…

Anchors Aweigh

中学・高校時代、ミュージカル映画が大好きだった。その頃、日本で公開されているMGM黄金期のミュージカル映画の大半は観てしまったので、最近でミュージカル映画を観たといえば、ウディ・アレン監督『世界がアイ・ブ・ユー』とフェデリコ・フェリーニ監…

聖なる酔っ払い

Conceda Dio a tutti noa, a noa bevitori, una morte cosi lieve e bella.(Joseph Roth) 神よ すべての酔っ払いに美しい死を与え給え幸いにも悪い酔っ払いを身近に見ることなく子供時代を過ごしたからか、酔っ払いにちょっとした愛を感じてしまうことが多い…

太陽は夜も輝く

先日途中で投げ出した職務経歴書を2時間かけてやっと完成させた。あとは、これをちょこちょこ応募する会社に合わせて書き直すだけだから楽だ。嫌なこと、ひと仕事終わった後は映画を観たくなる。今日の仕事の後に選んだのはパオロ&ヴィットリオ・タヴィアー…

『冒険者たち』のパロディ?

ロベール・アンリコの『冒険者たち』(66年)で、レティシアに魅了されて以来、ジョアンナ・シムカスに夢中なのだけれど、残念なことに、彼女の出演作は少なく、その中で日本で公開されているものとなると更に少ない。『パリところどころ』(65年)は、ヌー…

イヨマンテ

先日、アコーディオンに合わせて祖父母にいろいろ昔の曲を歌ってもらった際、祖母に「黒百合の歌」、祖父に「イヨマンテの夜」を教えてもらった。「黒百合の歌」は1954年、織井茂子が歌ってヒット。「イヨマンテの夜」は1949年発表、伊藤久男が朗々と歌って…

カオス

タヴィアーニ兄弟の『カオス・シチリア物語』を観た。カオスとは、混沌を意味するけれど、実際のイタリアの町の名前でもある。DVDジャケットの今にも海に飛び込みそうなポーズをとる後姿の少女に心惹かれて観ることにしたのだけれど、この映画を観ずに映…

見世物小屋

昨日に引き続きドキュメンタリー映画をみた。北村皆雄監督『見世物小屋−旅の芸人・人間ポンプ一座』 (1997年)と『修験−羽黒山・秋の峰』(2005年)の二本。私は1979年生まれだけれど、見世物小屋の記憶がない。寺山修司の本、映画『フリークス』、丸尾末広…

ドキュメンタリー映画と報道写真−リアルとフィクション

ドキュメンタリー映画の上映会に行き、大森康宏監督『私の人生ジプシー・マヌーシュ』(1977年)と『津軽のカミサマ』(1994年)をみた。どちらも、10年以上前(前者にいたっては30年も前)の作品だけれど、ナレーションがほとんど入らず説明的ないやらしさ…

シャイロックのこと

映画『ヴェニスの商人』を観た。シェイクスピアのこの作品を読んだのはもうかなり昔の話で、ストーリーを覚えている程度だったのだけれど、映画を観たことをきっかけに、シャイロックというキャラクターの面白さが新たにみえてきた。『ヴェニスの商人』で、…

ゼフィレッリ監督好み

最近、私の「これは!」と思った美少女はJUDI BOWKER(ジュディ・ボーカー)だ。フランコ・ゼフィレッリ監督の『BROTHER SUN, SISTER MOON』という映画に出演しており、はじめて知った。系統としては、テレビドラマ『大草原の小さな家』のメアリー系の美少女…

『家族の肖像』と『生きる』

ヴィスコンティの『家族の肖像』は、気難しく孤独な老教授が家族というものの良さに気付くというだけの話ではない。若者と老人、異なる世代の価値観の違いなどもこの映画の重要なファクターなのだけれど、それが深刻なものとしてだけではなく、ユーモラスに…

Le Rayon vert

エリック・ロメール監督の『緑の光線』を観た。彼の「喜劇と格言劇集」第四作である。エリック・ロメールは他の作品を何作か観て好きになった監督だけれど、この映画の前半部は観るのを苦痛に感じすぎて途中で観るのを止めようかと思ったほどだった。気持ち…

パワナ*1

アメリカの歴史を語るうえで、捕鯨の歴史を抜きにすることは出来ないということは、巽孝之の『恐竜のアメリカ』 や『「白鯨」―アメリカン・スタディーズ』を読んで知った。捕鯨業は、19世紀半ば、石油の開発によって鯨油の需要が落ち込むまでの一時期、アメ…