母たちの村
『母たちの村』は、ウスマン・センベーヌ監督による西アフリカの女子割礼(女性性器切除)を取り扱った映画だ。そのようなことが現在も行われている地域があるということは知識としてのみ知っていたけれど、どのように行われるのか、なぜ行われているのか、現状はいったいどうなっているのか等、なかなか知る機会を持つことができずにいた。このようなテーマは難しく、ドキュメンタリーを撮ることもおそらくとても困難だと思うのだけれど、ドキュメンタリー的な要素も取り入れつつ、美しい映像や登場人物の魅力で観るものを惹きつけ、世界中の人にこの問題について考えるきっかけを与えたウスマン・センベーヌ監督は、「アフリカ映画の父」と呼ばれるだけあり、やはり凄い。
心情的に観ていられなくなるほどつらくなる場面が多く出てきて、それが忘れられないのと同時に、主人公であるコレという勇気ある女性の姿がとても魅力的で美しく心に残っている。革命的で力強くありながらも暖かく優しい、またとてもかしこいけれども知識が先走るような冷たさや嫌らしさのないコレは本当に美しく格好良かった。
この映画の中では、「避難する」「保護を求める」という意味を持つモーラーデ 【moolaade】という言葉がとても重要になってくるのだけれど、様々な文化における「聖域」や「避難所」についてより詳しく調べたくなった。
時には少女の命を奪い、割礼後も女性の身体に大きな負担をかけ続けるこの女子割礼が少しでも早く廃絶されることを心から願う。
- 出版社/メーカー: エスピーオー
- 発売日: 2007/02/02
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