不思議な二人

山口小夜子は、パリコレにアジア系として初採用された国際的モデルで、日本人形のような黒髪とミステリアスな雰囲気が一度見たら忘れさせない存在感を持つ。最近（といっても2007年）亡くなったので、今後なかなかみつけられないかもしれない、と思って購入した『小夜子の魅力学』。しぐさ一つにしても研究し、オフの日も気を抜かない山口さんのモデルとしての美意識がわかる興味深い本であった。その小夜子さん憧れの女優というのが、『上海特急』のアンナ・メイ・ウォンであることがこの度わかった。彼女はハリウッドで有名になった初の中国系アメリカ人女優で、そのオリエンタルな美貌を見ると山口さんが憧れていたということはすぐに納得できる。東洋人への差別に苦悩し、愛人はいたが結婚せず、56歳とやや早くして亡くなったアンナ・メイ・ウォン。山口さんは年齢非公開なため正確にはわからないけれど、多分同じ齢くらいで亡くなったと思うし、結婚もしなかったはずだ。日本人モデルの草分けとして世界を舞台に仕事をする中でいろいろ大変なこともあったに違いない。山口さんは、アンナ・メイ・ウォンを自分のポーズやメイクのヒントにしているようだけれど容貌も結構似ている。いくら憧れているからといって同じような年齢で死んでしまうということはないとは思うけれど、そんな気も少ししてしまう。誰かの生き方を人生のお手本にして生きていると似たような運命も手繰り寄せてしまうのかもしれない。
で、私はアンナ・メイ・ウォンや山口小夜子をかっこいいな、ともちろん憧れているのだけれど、いろんなタイプの人に憧れているのでそれが混じってどんな運命になるかはわからないなと思った。

小夜子の魅力学 (1983年)

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