『冒険者たち』のパロディ？

ロベール・アンリコの『冒険者たち』（66年）で、レティシアに魅了されて以来、ジョアンナ・シムカスに夢中なのだけれど、残念なことに、彼女の出演作は少なく、その中で日本で公開されているものとなると更に少ない。『パリところどころ』（65年）は、ヌーヴェル・ヴァーグの監督6人によるオムニバス映画。この中のゴダールによる第五話「モンパルナスとルヴァロワ」にジョアンナ・シムカスが出演している。そうとは知らずにみていたので、思いがけず彼女の映像をみることが出来、とても嬉しかった。この「モンパルナスとルヴァロワ」、『冒険者たち』のジョアンナ・シムカスを知る私には、『冒険者たち』のパロディのようにも思えてしまったけれど、制作年を見ると『パリところどころ』の方が先に作られているので、どうやらそうではないらしい。そう勘違いして対比させてみてしまったけれど、それもまた面白かった。

第二話「北駅」の監督は民俗学者でもあるジャン・ルーシュ。この「北駅」以外の作品は、ほとんど日本未公開のようだ。偶然性が高く現実には起こりえないようなのに身近にも感じられる話が不思議な感覚をもたらし、その不安定さによって作品が強く印象に残った。上手いな、と思う。昨年末に、彼の『人間ピラミッド』（61年）をみる機会があったのに、みなかったことを後悔している。

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