文学作品における部屋の描写


海野弘の多作ぶりには本当に驚いている。本屋に行って面白そうなタイトルだと思ってみてみると「あ、これも海野弘が書いているのか」と思うことが多い。今回読んだのは、 『室内の都市−36の部屋の物語』だ。文学作品に描写された部屋についてのエッセイが36篇収められている。

『部屋の宇宙誌』『書斎の文化史』も既に出している海野弘は、部屋のかもし出す雰囲気が大好きなようだ。確かに、部屋は不思議なくらいにそこに住んでいる人をあらわしている。文学作品においても、部屋の描写は重要だ。確か斎藤美奈子『文学的商品学』に料理の描写や服装の描写が文学作品においていかに重要かということが書かれてあったな、と思い出した。

海野弘が部屋について細かく描写する作家の代表としてあげているのはバルザックプルーストだ。バルザックプルーストも日本から遠く離れた国に、時代も、ひと昔前を生きていた人なので、文章を読んでそれらがどんな家具なのか、どんな部屋なのか、作家がイメージしているものと出来るだけ近いものを思い描くには、やはり、絵画や映画、写真、骨董などに触れるのって大切だな、と思う。服装に関しても同じく言えることだ。(食事に関しては、食べたことがないまま想像する方がおいしそうに感じる場合が多いからなんともいえない気がするけれど)

誰だったか今すぐに思い出すことが出来ないけれど、昔、部屋の写真をたくさん撮った写真家の写真集をみた記憶がある。もう一度、それを探してみてみたくなった。


室内の都市―36の部屋の物語 (住まい学大系)

室内の都市―36の部屋の物語 (住まい学大系)

文学的商品学

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