コンビニ店員

アルバイトとして、ポピュラーなものは、コンビニとファーストフード店だと思う。これは、皆が憧れるというよりは、近所にあって、割と頻繁にアルバイト募集をしているし採用されやすいから、だと思う。

私は、ファーストフード店のアルバイトはしたことがないけれどコンビニの早朝バイトをしたことがある。コンビニの早朝バイトを選んだ理由は、昼夜逆転した生活を、早朝バイトをすることで、規則正しく真面目な生活に戻したかったから。と、もうひとつ、ポピュラーバイトの二つのうち、せめてどちらかひとつを経験したいと思ってはいたけれど、「どうもファーストフード店の仕事のスピードにはついていくことが出来なさそうだ」と、実際ファーストフード店で働く店員をみて思ったからだ。

早朝は、人も少なく暇だろうとたかをくくり、あわよくば、コンビニで廃棄になった弁当などをもらい、雑誌なんか読みながら仕事をできるだろうと楽観して仕事を開始した私は、まず、コンビニ店員の業務量の多さに驚いた。私の働いていたところは、朝5時から10時までは私1人だった。その間に、掃除や、検品や、商品の補充、廃棄処理、簡単な調理(からあげを揚げる他)等を1人でしなければならない。客がレジの前に立つたびに、仕事を中断させられて、なかなか思うように仕事が進まず、いつも謝りながら店内を走っていたという記憶がある。

切手を欲しい、とか、カップラーメンにお湯をいれて欲しいとか言われているうち、どんどん人の列が出来る。新聞をちらっとみせただけでお金をおいて勝手に立ち去ってしまう人もいれば、宅急便の荷物をデーンと持ってくる人もいて、FAXの使い方を訊いてくる人もいる。

期待していた廃棄の弁当ももらえなかった。悔しいから、フライドポテトをいくつかつまみ食いしたのだけれど、店長がしっかりモニターをチェックしていたので、ばれていたと思う。

私の生活は、規則正しくなるどころか、体力も気力もコンビニ業務で使い果たし、昼の1時頃に家に帰ってからはひたすら寝ていた。夜起きても、朝早く起きなければならないと思うと気が重くなり、活動する気は起こらなかった。

最近のコンビニでは、もっといろいろなサービスをしているから、店員はさぞかし大変だと思う。私は、その後、コンビニで品物を買うとき、レジに人がいない場合は、あまりレジの前に立たないようにし、店員がひと仕事終わった瞬間を見計らってレジ前に立つようになった。

コンビニとかファーストフード店のバイト、本当に大変なのになぜ最低賃金に近い時給なのだろう。いま、コンビニに行って出来ないことはほとんどないくらい、コンビニはあらゆるサービスをしている。薬も本も売っているし、お中元の注文も出来るし、観劇のチケットも買えるし、お金をおろすことも、トイレを借りることも…

コンビニで働いて覚えたことは、タバコの種類。これを略称含め覚えていないと万一怖い人が買いに来たとき大変なことになる。

立ち読み客は、何も買わずに帰っていくことが多いので、店員には無害な存在だ。地域の人の嗜好を観察する暇はないけれど、常連さんの顔は自然と覚える。猫餌の缶詰ばかりを大量に買うおばさん、なにやら本をたくさん持ってきて大量にコピーして帰るおじいさん、仕事前にいつもお気に入りの同じパンを買っていくお兄さん…。常連さんを思い出すと、あの忙しかった日々を懐かしく感じるけれど、もう一度コンビニの店員をやれる自信はない…。