Bellissima

ヴィスコンティ『Bellissima(ベリッシマ)』をみた。1951年の作品である。
Bellissimaは、イタリア語で美少女という意味で、娘を子役スターにしようとする母親の物語だ。主演は、「無防備都市」のアンナ・マニャーニ。彼女はこの役で、イタリア銀リボン最優秀主演女優賞を受賞している。確かに、アンナ・マニャーニの演技は、すばらしかったが、この映画で一番魅力的だったのは、娘のマリアを演じていた女の子だ。
題名通り、物語で映画会社は6歳から8歳までの、美少女を募集している。しかし、マリアは5歳なので、美少女と呼ぶよりは、お嬢ちゃん、と呼ぶのがふさわしいようなあどけなさの残るかわいい子だ。(もちろん、美少女になること間違いなし、なのだが)
マリアの、子どもらしいしぐさや声がかわいらしくてたまらない。映画の登場人物のほとんども、マリアのことを可愛くて仕方なく思っているようで、この子が可愛がられるシーンが、映画の3分の1くらいを占めるのではないか、と思われる。それが、ちっともこちらを飽きさせることにならないのは、本当にこの子がかわいいからなのだと思う。

この映画をみて、「ヴィスコンティってこんな映画も撮ってたんだ」と思った。私は、ヴィスコンティの後期の作品しか観ていないからそんな感想を持ってしまったのだと思うけれど、ヴィスコンティって、豪華な衣裳やセットで富裕層を描く監督というイメージがあった。庶民の日常を描いており、また、複雑に絡み合った人間関係が主軸でもなく、コミカルな部分もあるという点も、私のヴィスコンティのイメージを覆すものであった。

ネオレアリズモの映画で父子物の代表を自転車泥棒とするなら、母娘物代表を『Bellissima(ベリッシマ)』としたい。そして、『自転車泥棒』と監督は同じになってしまうけれど、男と犬物の代表は、『ウンベルトD』ということにしておこうかな。

ベリッシマ [DVD]

ベリッシマ [DVD]