テープ起こし

私が今までしてきた様々な仕事を思い出し、それぞれについて思うことを書いてみようかと思う。

今現在、単発で引き受けている仕事がちょうどある。それは「テープ起こし」。ということで、この企画の栄えある第一回目テーマは、「テープ起こし」に決定。

インドア派の中学生が、憧れる職業といえば、まずは小説家や漫画家が上位に入ってくるだろう。ずっと家にいて、好きな時に起きて好きな時に仕事をして、お菓子を食べたり音楽を聴いたりしながら仕事が出来そうだ。人とのコミュニケーションもほんの少しですみそうだ。しかし、「小説家や漫画家、芸術家のような仕事には、才能の有無が大きく影響しそうだ」とも思い、中学生は夢をはやくも諦めるかもしれない。そんなインドア派の中学生が次かその次くらいに目をつけるのは、ミステリアスな内職というものではないかと思う。本来、「内職とは本職とは別に家計の助けにするための仕事」なのに、私は、それだけでも生活できるのではないかと思っていた。中学生ということで、経済観念が欠如していることも手伝って、私は、例えば、封筒の宛名書きや、ちょっとした小物作りの仕事、など、よくわかっていないながらも、自宅で出来て且つ自分にもなんとか出来そうだと思える仕事(内職っぽいこと)に憧れていた。いつからその言葉を知っていたのか(父がテープ起こしの仕事を引き受けてやった頃からか…)、「テープ起こし」もやりたい仕事のひとつとなっていた。(「テープ起こし」は実際のところ内職と呼んでよいのかわからないけれど、内職と呼ぶにぴったりの仕事のような気がする)

「テープ起こし」は、実際大人になってみると、探してもそうは簡単にみつからない仕事だということがわかった。たまにそれらしき広告をみつけても、(封筒の宛名書きにしてもそうなのだが)仕事をもらうために、まずは勉強代を支払わなければダメということが多く、勉強後も実際仕事が与えられるのかよくわからず、内職として憧れていたものには悉くいかがわしさがつきまとった。内職で、そんなに稼ぐことが出来なさそうなことくらい中学生の時から知ってはいたけれど、そんな仕事、ボランティアでさえ探すのが難しいという現実を知った。

父は、たまたま知人に頼まれてというかたちで「テープ起こし」をしていたのだけれど、本当にこの仕事、知人に、たまたま頼まれてやる、というパターン以外には、なかなかやる機会がないように思う。(講演会にレコーダーを持って行って音声を録音し、自分のために起こすことは出来るけれど…)「テープ起こし」で生計を立てている人もいるのかもしれないけれど、仕事を定期的に得るのは難しそうだ。

ちょっとやそっとではその内情がわからない「テープ起こし」の仕事。たまたま知人に頼まれたことが過去に数回あり、きちんと賃金ももらえた私は、この仕事を体験出来て運がよかったと思わなければいけない。

その魅力は、言うまでもなく、「仕事をしながらいろんな知識を吸収できる」ことだ。

なんだか画像がないと寂しい。内職ではないけれど、内職のイメージとして、花輪和一刑務所の中の封筒貼りの仕事が真っ先に思い浮かんでしまう。

刑務所の中

刑務所の中