『ファンタジーの冒険』読了メモ

ファンタジーと聞くと、騎士や妖精が登場する中世ヨーロッパ的な物語を連想してしまっていたけれど、現実的な表現に重きを置かない文学すべてを無差別に指し示すものとして広く捉えると、神話、民話、シュールレアリスム小説、SF、ホラーまで含み、例えば泉鏡花の作品もファンタジーと言えるのだと、小谷真理『ファンタジーの冒険』を読んで今更ながら確認した。「Fantasy(とりとめのない空想、幻想)」という言葉はあまりに多くのものを含み、ジャンルとしてのファンタジーを定義するということは、実は専門家も頭を悩ませるくらい難しいことであるようだ。今まで簡単に使っていたファンタジーという言葉を改めて考えるきっかけを与えられ、また、ファンタジーをとりまく時代の潮流を知ることが出来、私のファンタジー観が塗り替えられる貴重な体験となった。

ファンタジーの冒険 (ちくま新書)

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