すてきなお母さん

ローラ・インガルス・ワイルダー、エリナー・ファージョン、ヨハンナ・シュピーリ、ケート・グリーナウェイ、ルイザ・メイ・オルコット、ルーマー・ゴッデン、ビアトリクス・ポタージョルジュ・サンドイーディス・ネズビット……。目次を全て書き写したくなるけれど、このあたりで止しておきます。これは、矢川澄子『わたしのメルヘン散歩』の目次なのだけれど、あまりに私にとって馴染みのある人ばかりが並べられていたので、失礼だとは思いつつも、矢川氏にとても親近感を抱いてしまった。採り上げられている人のほとんどは児童文学の作者として有名な人なので、多分他の人にとってもお馴染みなのだろうけれど。この本が私の生まれる前に発行されていることを考えると何だかとても不思議な気がする。古典と呼ばれるものは何世紀も読まれ続けているけれど、「大草原の小さな家」や「ムギと王さま」「ハイジ」などは古典と呼ぶには歴史が浅い気がするし、今後も少女・少年たちに読まれ続けるかどうか考えると、もしかしたら読まれなくなるのではないか、という不安もある。
この本では、マーク・トゥエインルイス・キャロル等男性作家も採り上げられているのだけれど、19世紀後半から20世紀前半にかけて活躍した女性作家が多く紹介されている。女性の地位が今よりもずっと低かった時代、才能溢れる彼女らがどのような人生を送ったのか短くもしっかりと纏め上げられていて、ちょっとしたフェミニズムの歴史書としても読むに値する。これは1976年6月から1977年6月まで、文化出版局の『すてきなお母さん』誌上に書きつらねられたエッセイのようで、私はこの雑誌のことをよく知らないけれど、ちょうど私の母の世代の人たちがお母さんになる時に読んだ本なのだろう。矢川氏のエッセイを読んだお母さんが、生まれた子(私の世代=団塊ジュニア)にエッセイで採り上げられた本を買い与えていたのかな、そしてその子がお母さんになったら、また自分の子にこれらの本を買い与えるのかな、なんて考えると、少し温かな気持ちになってくる。今度、母にそんな雑誌を読んだことがないか聞いてみようと思う。あと、お母さんになる予定は全く無いけれど、この雑誌、古本屋で見つけたら手にとってみてみたいと思う。

わたしのメルヘン散歩 (ちくま文庫)

わたしのメルヘン散歩 (ちくま文庫)