原台詞

『TOKYO STYLE』『賃貸宇宙』で有名な都築響一氏、やっぱり目のつけどころがいつも面白いな、と思う。今回読んだのは、夜露死苦現代詩』。正統現代詩としておそらく認められてはいないけれど、使う本人たちも詩とはあまり意識していないかもしれないけれど、私たちの日常生活において身近な生きた言葉を集めた記録だ。痴呆老人の言葉や、歌謡曲のナレーション、暴走族の刺繍、アダルトサイトの広告文など、耳にしていても、目にしていても、じっくり味わってみようという気になんてなれないほど身近で珍しくもなんともなかった言葉たちが、今一度文字で見たら、まったく違って見えてきた。
この本に収録されているもの以外で何かないかな、と考えてみて、携帯電話に届く知人・友人からのショートメールはどうかと思った。滅多に読み直すことがなくて、古いものから順に消えていくけれど、たまに届けてくれた人毎にソートをかけて過去のものまで遡り続けて読むと、時間を超えた短い言葉の集積から、その人の像が目の前に大きく膨らんでくるような気になる。
人の言葉って全て詩なんだろうなぁ。

夜露死苦現代詩

夜露死苦現代詩