ヴィジョンズ オブ アメリカ

TO TAKE A PICTURE OF SOMETHING OR SOMEBODY YOU'VE NEVER TAKEN BEFORE OR ARE AFRAID OR AWE OF・・・(かつて自分が撮ったことのない被写体、あるいは恐れを抱くもの、または畏敬の念を抱く対象を撮るかのように)

先月、東京都写真美術館の「ヴィジョンズ オブ アメリカ」展に行った。名画を目にすることの出来る機会に較べ、歴史的に有名な写真を美術館やギャラリー等で目にすることの出来る機会は相当限られていると思う。関西にも大きな写真美術館があったら良いのにと思う。
今回私が行った「ヴィジョンズ オブ アメリカ」の第一部「星条旗」は19世紀末から20世紀初頭にかけて撮られた写真を中心として構成されている。アメリカの広大な自然の風景写真を撮ったオサリヴァンやワトキンズ、ジャクソン等の写真は、やはり写真集で見るのではなく大きく引き伸ばされたものを前にしてこそ迫ってくるものがある。彼らの写真は、風景を鑑賞する目的で制作されたのではなく、西部の自然踏査の客観的な記録であったのだけれど、西部劇以上に当時の入植者のフロンティアスピリットを感じさせるものだった。ネイティヴ・アメリカンも見ていたであろう風景ではあるけれど、あくまで入植者の目で見たアメリカの風景とはどのようなものであったのかということを伝えるような写真で、いくら眺めても興味は尽きなかった。
第二部、第三部にも行きたいけれど、この特別展の公式ガイドブック写真集『メモリーズ・オブ・アメリカン・ドリーム』等、本を読むことで我慢している。

最初に書いた言葉は伊藤俊治アメリカンイメージ』からの引用で、写真家ダイアン・アーバスが死の直前、自分の写真をルービンシュタインという女性写真家に撮影させた際の言とされている。この言葉について、伊藤俊治は、「それはアーバス自身の写真の鉄則であり、トランス・アメリカの領域への第一の道しるべでもあった」と章を結んでいる。確かに写真を撮るということはトランス・ワールドの第一歩ともなり得るのだろうな、と思った。今回の「ヴィジョンズ オブ アメリカ」展ではダイアン・アーバスの写真は出展されないようだけれど、『アメリカンイメージ』はアメリカを象徴する写真を撮った写真家達についてのよくまとめられた本で、「ヴィジョンズ オブ アメリカ」展と併せて読むのに最適だった。

メモリーズ・オブ・アメリカン・ドリーム (とんぼの本)

メモリーズ・オブ・アメリカン・ドリーム (とんぼの本)

アメリカンイメージ

アメリカンイメージ