古本本

しばらく本をほとんど読まない日々が続いており、久々に新書を読んだ。大阪の古書店を巡るため京都から向かう京阪電車の車中で読んだのが山本善行『関西赤貧古本道』。著者の山本善行氏はこの本が発行された2004年にはまだ古本屋ではなかったけれど、昨年(2009年)京都に善行堂という古書店をオープンされた。自分の古本知識の確認と更なる情報のため手に取った本だけれど、やはり勉強になることがたくさんあり、私も古本好きとしてたまには古本本を読む必要があるな、と思った。
古書店を巡っていると古本に関する本のコーナーを持っている古本屋というのが意外とたくさんあることがわかる。古本好きは、古本に関する本ももちろん好きな場合が多く、古本に関する本だけは新刊書で購入しているという人もいるのではないだろうか。古書店の店主も、古本好きが書いた古本に関する本は自分の店がどのように評価されているか気になるだろうし、更なる勉強のために古本に関する本は、積極的に読んで情報収集しているかもしれない。そのように読まれた本が用済みになって古本として古本屋に置かれ、そこを訪れた古本好きにまた買われては古本として売られる。今はなき古本屋について書かれているものすごく古い古本本はもしかしたら価値があがっているかもしれない。というのも、昔からあった古本屋がつぶれることも多い昨今、自分が学生時代に通いつめた古書店についてのエッセイや情報が収められている本なんて、今後出版されることは少ないだろうし、店がなくなってしまったからこそ記念に買い求めるという人もいるかもしれないからだ。言葉遊びではないけれど、古本本というジャンルが確かに存在することについて面白いな、と思っている。食べ歩き好きにとってのグルメ情報誌のような古本好きにとっての古本情報本もしくは同じ古本好きと共感するための古本エッセイの需要は、地味に存在し続けるのだろうな、と思う。

関西赤貧古本道 (新潮新書)

関西赤貧古本道 (新潮新書)