SUNNY SATURDAY

気持ちよく晴れた土曜日。久々に、何も予定をいれていなかった日なので、家の掃除を3時間ほどしました。「しばらく忙しくて何もできていなかったな、やれやれ」などと、ひと息ついて暮しの手帖社『暮しのヒント集』を読みました。ぱらぱらと時折開いてそこにたまたま書かれてあった言葉に刺激を受けるような、辞書的感覚で手元に置くのに適した本なのですが、一気に読み、改めてその通りだな、と思ったことをメモします。

「贅沢な料理とは、材料の善し悪しではありません。それは工夫の善し悪しといえるでしょう。忘れてはいけない心がけです」
「金額によって使い方を変えてはいけません。賢い人は、一円の使い方と百万円の使い方が同じといいます」
「たった15分、朝食と向き合うことのできない人が、他に何ができるのでしょう」
(『暮しのヒント集』より)

雑誌等で、美しい暮らし特集が組まれていると、結構いやな感じがすることが多い私です。こだわりの器を使うとか、空間を楽しむとか、花のある暮らしとか、手作りに囲まれた暮らし。もちろんいいなと思わないわけではないのですが、「そんなのまずはお金と時間的にも余裕がなければ出来ないことじゃん」とひがんで考えてしまいがちです。でも、『暮しのヒント集』には、無理せずできることしか書かれていないのがまず良いところです。こうでなくてはいけないというような美意識を押し付けられるのでもなく、まさに「日々を楽しくするためのヒント」にすぎないのです 『暮らしのヒント集』に書かれていることは、「なるほど」と目からウロコが落ちるような特別なことはほとんどありません。心に余裕があり、自分と他人それぞれを思いやる気持ちがあれば、出来ていて当然のようなことばかり。でも、一人暮らしが長くなり、面倒くさいことはついつい後回しにして自由に過ごしていると、ついつい忘れているようなことばかりでもあります。読んでいると祖母を思い出すような、ひと昔前の人の当たり前と推測されることも多かったです。この本を読んで、そんな忘れかけていた当たり前を再確認しました。つまりは、心にゆとり、余裕を持たなければ、何事も美しく出来ないので、ある意味、私の「そんなのまずはお金と時間的にも余裕がなければ出来ないことじゃん」というひがみは外れてもいないわけです。でも、「実際には、余裕がなくても、余裕をつくるようにすること」、そして、「欲を出したらきりが無いので、現在の余裕がないと思い込んでいる状態を考え方ひとつで余裕のあるものにすること、言い換えれば、足るを知る気持ち」が大切なのだろうな、と思いました。特に、 「たった15分、朝食と向き合うことのできない人が、他に何ができるのでしょう」には軽くショックを受け、「はい、その通りですね。そんな人には他の何もできなさそうですね」と、たった15分でも朝食と向き合っていなかった私は小さくなりました。

「暮らしは夢が支えています。料理、洗濯、掃除、手仕事など、すべて夢が遠くにあるからこそ、人は働くのです」
(『暮しのヒント集』より)

今時間や余裕がないことを夢のためだと思えるかどうかも重要だな、と。それから、時間やお金がなくても、月や星を見ること、夢を描くことは出来るな、と。この本を読み進めるうち、しゃんとしなければと今までの自分を反省もしたのですが、

「毎日心地よく過ごすには、あまりに潔癖すぎてもいけません。よごれやけがれも受け入れてこそ暮らしがあるのです」(『暮しのヒント集』より)

とのフォローのお言葉もきちんとありました。新しい生活がはじまって忙しかったけれど少し落ち着いてきた人、GWにたっぷり遊び、さてそろそろ日常も見直してみようかと思っている人、ちょっと遅めの春の種まきもまだ間に合います。今の時期に読むのにぴったりの本かな、と思いました。

暮らしのヒント集

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