【マナーの勉強】1.マナーを学ぶ心得

図書館にビジネスマナーの本を探しに行ったが、なかなかない。かろうじてみつけることができた斎藤美奈子著『冠婚葬祭のひみつ』であるが、私の好きな斎藤美奈子とは別の斎藤美奈子に決まっていると思って借りた。著者本人もあとがきに、「冠婚葬祭の本を書いているというと知り合いから驚かれた」というエピソードを書かれているが、「まさかあの斎藤美奈子氏がマナーを指導するなんて!?」と他聞にもれず私も思ってしまったからだ。読了後、さすがはあの斎藤美奈子だとスカッとする。

いくらくだらないと思っていても、覚えておかなければ損をしたり馬鹿にされたり苦労するマナー。諸事情により、私も現在勉強中だけれど、そのとき常に心にとめておきたいことがこの本には書かれていた。

「しきたり」「常識」「心得」といった口当たりのいい言葉の裏に、看過できない差別思想が実は隠れているかもしれない、ということである。役に立たないだけならまだいい。有害な思想をそれらが撒き散らかしていたとしたら、責任は誰が取るのだろう。
斎藤美奈子著『冠婚葬祭のひみつ』)

この文章の前ふりとして、プリンス裕仁の結婚時の話が紹介されている。昭和天皇ロイヤルウェディング時、良子の母方、島津家に色覚異常の遺伝があると、元老山形有朋らが婚約内定の取り消しを求めた事件、世に言う「宮中某重大事件」が起こった。これをきっかけに人々は結婚と優生思想の関係を学習するようになり、結婚前に健康診断書を交換することや、縁談相手の素性や品行を事前に調べる身元調査が習慣として取り入れられるようになったという。

習慣・しきたりやマナーが誕生した背景を学ぶことは面白い。また、背景を知らなければ学んでも意味がない。マナーを学ぶにあたっての心得として上に引用した事柄を踏まえつつ、自由に面白く取り入れたい。知った上での崩しというものは目指すところだし、知らなければ本当の意味で、上記の意味を知ることは出来ないのではないかと思う。

冠婚葬祭のひみつ (岩波新書)

冠婚葬祭のひみつ (岩波新書)