【マナーの勉強】3.最近の結婚式
私は、仏教系の幼稚園を卒園し、キリスト教系の大学を卒業し、寺や神社をみかけるとついつい入り拝み、聖人フランチェスコが好きで明恵上人も好きなのでたいそうなことは言えないけれど、結婚式用のチャペルには違和感を持っている。
現在、挙式スタイルの主流はキリスト教式だそうだけれど、本物の(宗教法人の)教会で式を挙げるカップルはごく僅からしい。レストランにも仮説のチャペルが備えられ、式には派遣牧師が出張してくるようだ。
結婚の予定が無いヒトでもぜひ一度余興で結婚情報誌を覗いてみることをおすすめする。笑いがこらえきれなくなるはずだ。十数年前まで、街中や郊外に建つ大型の洋館といえば、それはラブホテルだった。現在のそれは圧倒的にブライダルチャペル、そしてゲストハウスである。(斎藤美奈子著『冠婚葬祭のひみつ』)
というわけで、私も近々、日本一厚くて重い(?)『ゼクシィ』という雑誌を見てみようかと思っている。
挙式と披露宴にかかる平均額は、平均で279.8万円、約300万とのこと。当人たちが結婚式にどのような投資価値を見出しているのか気になるところだ。
2005年の『ゼクシィ』の調査によると、挙式、披露宴、披露パーティの演出決定の際に心がけたことのトップ3は「アットホームなムードになること」(65%)、「自分らしさを表現できること」(57%)、「列席者を退屈させないこと」(54%)。(斎藤美奈子著『冠婚葬祭のひみつ』)
実際、私もごくたまに義理で参加する結婚式などで、斎藤美奈子氏の言う現代型の結婚式を体験している。最近の結婚式は、「アットホーム」「自分らしさ」「退屈させない」を旨とするので「参加型」になっているのだ。フラワーシャワーや、クイズ、突撃インタビューやらなにやら色々体験させていただいた。結果的にイベントとして愉しいものもあり、本当に当人達の幸せを願いもしているが、斎藤美奈子氏がずばりと私の本音の部分でちらりと思っていることを書いてくれていたので、引用して終わりたい。
だいたい「列席者を退屈させないこと」を目標に掲げているのが図々しいところである。新郎のウェルカムスピーチでも<それでは皆様、パーティーをお楽しみください><私達なりのおもてなしを用意させていただきましたので、どうぞごゆっくりお楽しみください>(『結婚式新郎・新婦 あいさつと手紙』)のたぐいはもう定番の挨拶だ。
「お楽しみください」なんて、プロの芸人さんでも、ほんとは口にしないのね。「お耳汚し(お目汚し)ですが、しばらくの間、ご辛抱ください」っていうのかね、古いタイプの芸人さんは。と文句をいっても誰も聞きゃあしないろうが(しかし、このくらいのこと身近な大人がいってやってもいいと思う、嫌われるだろうけれど)、結婚式で本人以上に「盛り上がって」いる人はいないということは一応知っておきたい「常識」である。大切な彼や彼女のお祝いだと思うからこそ、参列者は万障繰り合わせて「出てあげて」いるのである。
どれほど演出がすぐれていても、アットホームな雰囲気でも、結婚式は疲れる。どんなに二人を祝福していてもそうなわけ。結婚は「性と生殖の社会科」だから、そもそもが小っ恥ずかしいものなのだ。そこんとこだけ、どうぞお忘れなく。(斎藤美奈子著『冠婚葬祭のひみつ』)
- 作者: 斎藤美奈子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2006/05/12
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