2008-01-01から1年間の記事一覧

Anchors Aweigh

中学・高校時代、ミュージカル映画が大好きだった。その頃、日本で公開されているMGM黄金期のミュージカル映画の大半は観てしまったので、最近でミュージカル映画を観たといえば、ウディ・アレン監督『世界がアイ・ブ・ユー』とフェデリコ・フェリーニ監…

『ファンタジーの冒険』読了メモ

ファンタジーと聞くと、騎士や妖精が登場する中世ヨーロッパ的な物語を連想してしまっていたけれど、現実的な表現に重きを置かない文学すべてを無差別に指し示すものとして広く捉えると、神話、民話、シュールレアリスム小説、SF、ホラーまで含み、例えば…

Wunderkammer 驚異の部屋

この世界は不思議な事物がなくとも消滅しないが、驚異の感情がなくなったら消滅するだろう。(J・B・S・ホールデーン)例えば、クラフト・エヴィング商會の本に出てくるような不思議な道具の数々が陳列されている場所があったら是非とも行ってみたいと思…

聖なる酔っ払い

Conceda Dio a tutti noa, a noa bevitori, una morte cosi lieve e bella.(Joseph Roth) 神よ すべての酔っ払いに美しい死を与え給え幸いにも悪い酔っ払いを身近に見ることなく子供時代を過ごしたからか、酔っ払いにちょっとした愛を感じてしまうことが多い…

<現実>を見ることについて

『見たくない思想的現実を見る』とはなかなかに良いタイトルだと思う。 私たちにとって、現実と思想の往復運動を回復することが不可欠になっている。そのために、沖縄を皮切りにして老人病院や農山村あるいはアジアへと、自らの足を運ぼうと考えている。日々…

ソローについて

小学校5年生くらいのとき、トルストイの「人は何で生きるか」を読んでそれまでの読書ではなかったくらいに深い感銘を受けた。中学生のときには「ガンジー自伝」を夢中で読んでいた。そして、高校のときに、ソローの「ウォールデン」を読んで、ソローは私の最…

太陽は夜も輝く

先日途中で投げ出した職務経歴書を2時間かけてやっと完成させた。あとは、これをちょこちょこ応募する会社に合わせて書き直すだけだから楽だ。嫌なこと、ひと仕事終わった後は映画を観たくなる。今日の仕事の後に選んだのはパオロ&ヴィットリオ・タヴィアー…

ビブリオマニアへの道

16−20世紀にヨーロッパで刊行された美本の図版が満載の荒俣宏著『稀書自慢紙の極楽』は、ビブリオマニアの指南書のような本だった。ビブリオマニアとはなるべくしてなるもので、ビブリオマニアになりたいと思ってなるという人もそうそういないと思うけれど、…

アンディの頭の中

ぼくは旅行が嫌い。時間がゆっくりなのが好きだし、飛行機に乗るのに3時間も4時間も早めに行かなきゃならないなんて、もうそれだけで1日だろう。自分の人生が映画みたいに目の前を通り過ぎてほしいなら旅行はいい、人生なんて忘れてしまう。 ぼくは単調さが…

帽子屋と眼鏡屋

今日は、いつも入りにくいと思っていた二つの専門店、帽子屋と眼鏡屋に入ることが出来た。帽子屋のほうは、祖父の誕生プレゼントを購入するために入った。自分自身があまり帽子をかぶらないので、古くからある帽子専門店の雰囲気は好きだけれど買う気もない…

職務経歴書を書き疲れて

2月だ。今の仕事の契約は更新しないことにしようと思っているので、4月からの仕事を探さなければならない。いつもの私なら、「折角仕事をいったん辞めるのにのんびりしない手はないじゃないか」と、貯金の続く限りのんびりするのだけれど、今回は貯金もない…

読んでしまった漫画

ここのところ忙しくしており、いつも寝る時間が早いのに遅くまで仕事をしていた。 私には、忙しい時、すごく漫画を読みたくなる傾向があるみたいで、忙しい中ながら少しずつ毎日漫画を読んでいた。そんなに漫画を読むほうではないのだけれど、お宝漫画として…

Endless Work

しばらく副業+風邪で日記を書く余裕がまったくなかった。週に3日くらいは何かしら書ける余裕のある生活をしたいな、と思う。「正社員という労働形態は合わないな」と思っている理由は数々あるけれども、自分の時間がすごく少なくなってしまうということが理…

『冒険者たち』のパロディ?

ロベール・アンリコの『冒険者たち』(66年)で、レティシアに魅了されて以来、ジョアンナ・シムカスに夢中なのだけれど、残念なことに、彼女の出演作は少なく、その中で日本で公開されているものとなると更に少ない。『パリところどころ』(65年)は、ヌー…

『原理主義とは何か』読了メモ

西谷修、鵜飼哲、港千尋の三氏による、1995年から1996年にかけての鼎談がまとめられた本だ。1996年発行で、阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件の頃、10年以上前の本なのだけれど、ここで語られている話はまったく古くはない。問題が、解決されないままに今…

L' ART DE LA DISPARITION

写真論は好きでよく読むのだけれど、「これからはもうしばらく読まなくても良いかな」とちょっとだけ思ってしまった。それほどに力強い写真論だったボードリヤールの『消滅の技法』。 意味とレファレンスの総体である『ストゥディウム』に対置する、虚無、不…

ありがとうヴォネガット

二十歳の頃の若者のような、もう二度と出来ないと思っていた“震えるような読書”が再び出来て本当に幸せだった。 2007年4月に亡くなったカート・ヴォネガットの最後の著作『国のない男』の帯に書かれた太田光の言葉の一部だ。まさに、太田と同じことを思った。…