身近な聖人

ブッダとイエスが現代の東京で共同生活をしているという設定の中村光によるコメディ漫画『聖☆おにいさん』が人気だそうで、知人から借りて5巻まで読み終えた。ブッダとイエスのみならず、四大天使や、ブッダの一番弟子であるアナンダや守護者梵天等もキャラ…

SUNNY SATURDAY

気持ちよく晴れた土曜日。久々に、何も予定をいれていなかった日なので、家の掃除を3時間ほどしました。「しばらく忙しくて何もできていなかったな、やれやれ」などと、ひと息ついて暮しの手帖社『暮しのヒント集』を読みました。ぱらぱらと時折開いてそこに…

偶然のチカラ

人生いかに善く生きるべきかというよりは処世術が書かれた哲学書よりも簡単でわかりやすい、それでいてちょっと読むのが恥ずかしいような本がある。この類の本には悩み多き時代に結構お世話になり、大体書かれてあることが予想できるようにもなったので最近…

最近ジャケ買いした漫画

昨日に引き続き漫画の感想。得松ショージの『錬夢術遊戯』を読む。この方のことは全く知らなかったが、ジャケ買いというか、表紙とタイトルを見ただけで絶対私好みなので購入した。イタガキノブオとか鴨沢祐仁とか和田誠とかそのあたりの系統の人かなと思う…

両親世代

職場で両親と同世代の人と知り合うと、大抵の場合可愛がってくれるし、こちらとしても何となく安心して接することができる。過去の職場で大変お世話になった上司もやはり母と同年齢で、ほかの人に申し訳ないくらい贔屓してくれたし、先日もたまたま父と同じ…

古本本

しばらく本をほとんど読まない日々が続いており、久々に新書を読んだ。大阪の古書店を巡るため京都から向かう京阪電車の車中で読んだのが山本善行著『関西赤貧古本道』。著者の山本善行氏はこの本が発行された2004年にはまだ古本屋ではなかったけれど、昨年…

アルバムに登場するということ

人間が「出会う」ことは、相手のアルバムの中に登場することなのだという、そんな当たり前のことを感動的にみせてしまう素晴らしい構成になっている。(伴田良輔著『奇妙な本棚』) 伴田良輔著『奇妙な本棚』の中で、ピエール&ジルの本を評した章の一部分だ…

完璧なヒロイン:山脇道子

1919年、建築家ヴァルター・グロピウスがワイマールに興したバウハウスは、1933年、ナチスによって閉鎖されるまでのわずか14年間に、クレーヤカディンスキーなど錚々たる講師陣を揃え、モダンデザインに多大な影響を及ぼすことになる思想を形成、また全世界…

レーモン・クノーと月影先生

昨年、ちょこっと翻訳の授業を受けていた時期がある。『地下鉄のザジ』のレーモン・クノー著『文体練習』を読んで、その時のことを思い出した。主人公が<I>(私)である英文を渡されて、その「私」がどのようなキャラクターなのか、老紳士なのか、主婦な…

すてきなホーム暮らし

雑誌サプライズを読み、城夏子という作家のことを知った。サプライズは、度々私の好きな森茉莉の特集を組んでいる雑誌なので、そこで紹介されている人や本には信頼をおいている。そこで、城さんの文章を読んでみたくなり、サプライズの編集者である早川茉莉…

手元に置いておきたい「本」

植物好きが高じて今や研究者の如くに日々野山に行き、そこに自生する植物の調査をしている母と、最近たまに一緒に植物の観察をしている。普段ドライブしながら「きれいね」と言うだけで通り過ぎている野山でも、個々の植物に注目してみると、時間帯や場所を…

「主よ人の望みの喜びよ」の人

今年は、1859年にアンリ・デュナンが赤十字の思想を提唱してから150年目のようで、郵便局ではその記念切手が販売されており、原宿表参道などでもキャンペーンが行われたようだ。 日本赤十字社の名誉総裁は美智子皇后なのだが、皇后の良き話相手であった精神…

不思議な二人

山口小夜子は、パリコレにアジア系として初採用された国際的モデルで、日本人形のような黒髪とミステリアスな雰囲気が一度見たら忘れさせない存在感を持つ。最近(といっても2007年)亡くなったので、今後なかなかみつけられないかもしれない、と思って購入…

セルフポートレイトな気分

CINDY SHERMANの写真集を観ながら、セルフポートレイトを彼女のように本格的に撮るのはとても面白そうだと思った。人物写真は、被写体との関係性が大きく写真に反映されるから難しい。自分を撮るのだと気を遣わなくて良いから楽だ。 考えてみると、私は普段…

Writing Can Be Democratic

ダグラス・ラミス著『最後のタヌキ−英語で考え、日本語で考える』は、『スチューデント・タイムズ』に連載されていたエッセー集で、日本語訳もついているし、中高生くらいの英語力で十分読めるような本だ。 私は今まで「大切な考えを簡単な単語のみで書くこ…

世の中全体がかかっている催眠術

SALGADOの写真集『SAHEL THE END OF THE ROAD』を久々に観た。チェーホフの『すぐり』に出てくる言葉が思い出されたので、それのみ引用しておきたい。 実際にこの世には、幸せで満足している人々が何と多いことだろうか!それは何と圧倒するような力だろうか…

「西陣」という名がボツになった理由

最近、英語を勉強していて、翻訳者という存在が大変気になりだしている。谷崎潤一郎、川端康成等の翻訳を手がけたE・G・サイデンステッカーの『谷中、花と墓地』を読んだ。日本語で原稿を発表をする時にはいつも翻訳に回していたというサイデンステッカー…

リベラーチェの功績

川本三郎著『本のちょっとの話』を読んで得た一番大きな収穫はリベラーチェという人物を知ったことだ。私は、1950年代に非常に興味を持っているので、この時代の特にアメリカに関する本や映像には出来る限り触れてきたつもりだったのに、当時人気者であった…

電子辞書ももっている

金井美恵子は、1987年に岩波市民セミナーで三日間にわたる小説論の講義を担当したらしい。その内容は金井美恵子『小説論−読まれなくなった小説のために』で確認できるのだが、金井氏が岩波市民セミナーの講師をしたことがあったなんて意外であった。今後もそ…

ちょっとかわいい魯庵先生

鴻巣友季子著『明治大正翻訳ワンダーランド』は、今ほど外国の情報を入手しやすくなかった、そして読者にも外国に関する知識がそんなに浸透していなかった明治大正期、翻訳家たちがどのように外国語を日本語に翻訳したのかについて多くのエピソードが詰めら…

ヴィジョンズ オブ アメリカ

TO TAKE A PICTURE OF SOMETHING OR SOMEBODY YOU'VE NEVER TAKEN BEFORE OR ARE AFRAID OR AWE OF・・・(かつて自分が撮ったことのない被写体、あるいは恐れを抱くもの、または畏敬の念を抱く対象を撮るかのように)先月、東京都写真美術館の「ヴィジョン…

舞踏会へ向かう三人の農夫

次にやってみたい仕事は英語を使った仕事で、そのためには一人で出来るリーディング、リスニングの勉強以外にもライティング、スピーキングの能力も身に付けなければと学校に通うことにした。今度こそ本気で英語勉強するぞ!! 読書もしばらくは英語圏の文化…

e.o.プラウエンとは

愛嬌のある絵に惹かれて購入したe.o.プラウエンの『最高だね!ヒゲ父さん−いつも一緒に歩いていこう』。父と子の日常を描いた人間味とユーモア溢れるドイツの漫画である。私が購入したのは、全三巻シリーズの第三巻だ。 全世界で愛されている漫画のようだけ…

原台詞

『TOKYO STYLE』や『賃貸宇宙』で有名な都築響一氏、やっぱり目のつけどころがいつも面白いな、と思う。今回読んだのは、『夜露死苦現代詩』。正統現代詩としておそらく認められてはいないけれど、使う本人たちも詩とはあまり意識していないかもしれないけれ…

各国料理ブーム再到来

ニンニクは多くの料理に欠かせないのに、どこにも出かける予定がない休日の前日でなければニンニクを使った料理を食べることを控えざるをえないのが辛いところです。 昨日の晩に食べたイラク風サラダに入れたニンニクの臭いがまだ自分から消えていないような…

ゴシックハート

ゴシック建築、ゴシックロマンスなどを好きだという自覚がある。中世風の古城や修道院、廃墟、人形、怪物、分身等のキーワードにも心惹かれる。ゴスファッションの人がいたりすると何となく好感を持って眺めしまう。自分自身がゴスファッションに身を包んで…

客車内の共同性

西垣通著『メディアの森―オタク嫌いのたわごと』は、副題が「オタク嫌いのたわごと」となっているけれど、オタク嫌いの意味がわかったのはやっとあとがきを読んでからだった。この副題で手に取るのを控える人も多そうだけれど、文字とグローバリぜーションに…

お姫様と私

昨年亡くなった若桑みどり氏の『お姫様とジェンダー―アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門』を読んだ。ジェンダーはどんな学問をしていても到達するだろう問題ではあるけれど、彼女のことは美術史の人とばかり思っていたので、ジェンダーの分野でも幅広く活…

踏切のある風景

石田千著『踏切趣味』を読んだ。視力を失った者として、石田さんの肩に摑まりながら都心の下町をぐるぐる巡って帰って来たような気分だ。石田さんの見たものの詳しい描写が彼女の視線の移行に伴い、平均すると2行くらいで段落を変え並んだ文章なのだけれど、…

すてきなお母さん

ローラ・インガルス・ワイルダー、エリナー・ファージョン、ヨハンナ・シュピーリ、ケート・グリーナウェイ、ルイザ・メイ・オルコット、ルーマー・ゴッデン、ビアトリクス・ポター、ジョルジュ・サンド、イーディス・ネズビット……。目次を全て書き写したく…